本来、子宮の内側にだけある子宮内膜が何らかの原因で子宮の筋肉の中に深く入り込んで子宮の筋肉の壁の中にも子宮内膜ができる病気です。このような子宮の内側以外のところにできた子宮内膜を異所性内膜と言います。異所性内膜も卵巣から出る女性ホルモンによって増殖と剥離を繰り返します。症状としては、生理痛(月経痛)があります。特に異所性内膜が子宮の筋層の80%以上の深さにまで入り込むと非常に強い生理痛が起きるようになります。子宮腺筋症によって起きる生理痛は若い頃から徐々に起きるといったものではなく、30歳くらいを過ぎてから突然に生じるといった特徴があります。病気が進むと足や肛門など病巣とは関係のない部分にも痛みが広がったりします。生理の量も増えます。貧血になるくらい多くの血が出ることもあります。また、不妊症になったり流産もしやすくなります。女性ホルモンの刺激で病気は進行するので治療せずに放置すると閉経するまで病気が進み続けて症状も悪化して行きます。
症状、エコーやMRIなどで診断します。エコーで見ると子宮の一部の壁が厚くなってこの病気に特有の所見が認められます。子宮も全体として大きくなっています。一般的にこの病気の場合は、びまん性といって病巣が子宮の広い範囲に広がっていますので診断はつきやすいのですが、まれに結節性タイプという子宮の一部にだけ病巣の塊ができることもあります。この塊りの中に古くなった血液が溜まることもあります(嚢胞性腺筋症といいます)。子宮の一部分に小さい病巣ができているときは見逃されることもあるので注意が必要となります。
治療には痛み止めやホルモン剤などの薬を使う方法と手術があります。しかし、この病気の場合、薬による治療はほとんど効かないのが現状です。手術では子宮を摘出することが原則ですが、将来、妊娠を希望している場合には核出術といって病巣だけを切り取って子宮を残す手術が行われることもあります。